オンラインでサービスを長く運営していると、いつの間にか増えていくものがあります。
それが、「よくある質問(FAQ)」です。
僕が運営しているオンライン英語コーチングサービス「RYO英会話ジム」でも、
- 受講レベル
- レッスン
- コーチング
- 復習
- レッスンチケット
- 予約・キャンセル
- 料金プラン
- 短期集中プラン
- プラン変更
- 休会・退会
など、長年の運営の中でFAQがかなり増えてきました。
これまでは問い合わせが来るたびに、
「これもFAQに追加しておこう」
という感じで少しずつ増やしていました。
でも、改めて全体を見直してみると気づいたことがあります。
FAQは、情報を増やせば増やすほど親切になるわけではない。
むしろ、情報が多すぎることで、
「結局どこを見ればいいの?」
となってしまうこともあります。
そこで今回、FAQを一度しっかり見直すことにしました。
そして最終的には、単に文章を短くするだけではなく、サービスそのものの考え方やルールまで改善することになりました。
- 1 FAQは「問い合わせを減らすページ」だけではない
- 2 まずやったのは「とにかく短くする」こと
- 3 「似た質問」も整理する
- 4 FAQを見直したら、サービスのルールまで変わった
- 5 もう一つ気づいた。「FAQもブランドの一部」だった
- 6 「誰でも大丈夫」ではなく「本気なら大丈夫」
- 7 「レッスンを受けるだけで伸びます」にはしたくない
- 8 新しく「どんな方におすすめ?」を追加した
- 9 「レッスンを受けるだけでも伸びますか?」も追加
- 10 音読10分も「最低ライン」に変更
- 11 「高い理由」も、ちゃんと説明する
- 12 「伴走」という言葉も、具体化する
- 13 AIを使うと、FAQ全体を俯瞰しやすい
- 14 FAQは「完成させるページ」ではない
- 15 情報を増やすより「迷わないサービス」を作る
FAQは「問い合わせを減らすページ」だけではない
FAQというと、
問い合わせ対応を減らすためのページ
というイメージが強いと思います。
もちろん、それも重要です。
ただ、実際にオンラインサービスを運営していると、もう一つ大切な役割があります。
それが、
申し込み前・利用中のお客さんの不安を減らすこと。
たとえば、
「自分の英語レベルでも受講できる?」
「海外からでも受講できる?」
「レッスンをキャンセルしたらチケットはどうなる?」
「途中でプラン変更できる?」
こういった疑問が出てきたとき、その答えがすぐ見つかれば安心できます。
逆に、説明が長かったり、複数のFAQに情報が分散していたりすると、それだけでストレスになります。
だから最近は、
FAQ=サポートページ
ではなく、
FAQ=サービスを安心して利用するための設計
と考えるようになりました。
まずやったのは「とにかく短くする」こと
今回、FAQ全体を見直すうえで最初に意識したのは、
質問に対する答えを最初に出すこと
です。
たとえば、
「海外からでも受講できますか?」
なら、
はい、海外からでもご受講いただけます。
から始める。
そのあとに必要な補足だけを書く。
FAQでは、結論まで長い説明を読む必要はありません。
基本的には、
結論 → 補足 → 必要なら詳細ページ
くらいで十分です。
特にスマホでは、数行文章が続くだけでもかなり長く感じます。
親切にしようとして説明を増やしすぎると、逆にわかりにくくなってしまうんですよね。
「似た質問」も整理する
FAQが長くなる原因の一つが、似た質問の重複です。
たとえば、
「チケットを追加できますか?」
「後からチケットを買い足せますか?」
は、ほぼ同じ内容です。
こうした質問をそれぞれ長々説明すると、情報が分散します。
そこで、
メインとなるFAQで詳しく説明し、似た質問からはそこへ案内する
という形にしました。
FAQの目的は質問数を増やすことではありません。
ユーザーが最短で答えにたどり着けること
のほうが重要です。
FAQを見直したら、サービスのルールまで変わった
今回特に面白かったのが、レッスンチケットのルールです。
RYO英会話ジムには、購入から3ヶ月間利用できる「フレキシブルチケット」があります。
ある受講生が、まだ有効期限を1ヶ月以上残した状態で、保有していたチケットをすべて使い切りました。
そして、新しく10枚追加購入。
これまでの運用では、有効期限がまだ残っていれば、基本的にその期限をそのまま使っていました。
ただ、それだと、
新しく10枚買ったのに、実質1ヶ月ほどしか使えない
ということが起こります。
これは少し不自然だなと思いました。
そこで、新しいルールに変更しました。
フレキシブルチケットの新ルール
保有チケットが0枚の場合
追加購入日を起点として、新たに3ヶ月間の有効期限を設定。
保有チケットが残っている場合
現在の有効期限と、追加購入日から3ヶ月後を比較して、より遅い日を有効期限として設定。
現在のFAQにも、この新しいルールを反映しています。
これなら、
- 早くチケットを使い切った人が損しない
- 追加購入もしやすい
- 運営側も判断に迷わない
- お客さんにも説明しやすい
というメリットがあります。
今回改めて感じたのが、
FAQ改善は文章を直す作業だけではない
ということです。
FAQを見ながら、
「この説明、なんかわかりにくいな」
と思ったら、
実は文章ではなく、
そもそものサービスルールが複雑なのかもしれない。
そういう視点で見ると、サービス改善にもつながります。
もう一つ気づいた。「FAQもブランドの一部」だった
そして今回、さらに踏み込んでFAQを見直していると、もう一つ気になることが出てきました。
それが、
サービスの方針と、FAQの文章が少しズレている部分
です。
RYO英会話ジムは、
「気軽に英会話を楽しむ」
ことをメインにしたスクールではありません。
レッスン中にたくさん話して、
発言を可視化して、
間違いを添削して、
正しく直した英文を音読して、
復習して、
必要に応じてカリキュラムを調整する。
つまり、
本気で英語力を伸ばしたい人に、徹底的に伴走する
というのがサービスの軸です。
ところがFAQを見てみると、
「短期間で英語力を上げたいすべての方」
「目的に関係なくおすすめできます」
といった表現も残っていました。
これは少し違うなと。
誰にでもおすすめするサービスではなく、
「本気で伸ばしたい人」にこそ来てほしい。
なので、このあたりも見直しました。
「誰でも大丈夫」ではなく「本気なら大丈夫」
たとえば、
「まったくの初心者ですが大丈夫でしょうか?」
というFAQ。
以前は、
「英語学習が初めての方でも安心して受講できます」
というニュアンスでした。
ただ、別のFAQでは、
TOEIC450点以上、英検3級程度、中学英文法を理解していることを一つの目安としていました。
ここも少し整合性がありません。
そこで、
初級者でも相談可能。ただしアウトプット中心なので、基礎力があるほど効果的
という説明に変更しました。
重要なのは、
「初心者お断り」
にすることではありません。
むしろ、
「今は初心者でも、本気で話せるようになりたいなら歓迎」
というスタンスです。
これは結構大きな違いだと思っています。
「レッスンを受けるだけで伸びます」にはしたくない
もう一つ見直したのが、
「レッスン・復習・宿題をこなせば目標ステージに到達できますか?」
というFAQです。
以前は、
プラスアルファの学習がなくても目標達成は十分可能
という書き方をしていました。
これも少し強すぎるなと感じました。
英語学習なので、当然個人差があります。
しかもRYO英会話ジムでは、
「レッスンを受ければ勝手に伸びる」
という考え方はしていません。
実際、成果が出にくい方の特徴として、
- レッスンを欠席しがち
- 音読や復習が習慣化できない
- 宿題を継続できない
- インプット量が不足している
といった点もFAQで説明しています。
だから、
「こちらが徹底的にサポートする。でも本人の努力も必要」
ということを、もっと明確にすることにしました。
これは厳しくしたいからではありません。
むしろ、入会後のミスマッチを減らすためです。
新しく「どんな方におすすめ?」を追加した
そして今回、新しく追加することにしたFAQがあります。
それが、
「どんな方におすすめのスクールですか?」
という質問です。
これは【受講レベル】カテゴリーの最初のほうに配置します。
最初に、
「そもそも自分に合うサービスなのか?」
を判断してもらうためです。
内容としては、
- 仕事や海外生活で使える英語力が必要
- 自分の課題を明確にして改善したい
- 復習・音読・宿題まで継続できる
- 添削やフィードバックを積極的に活用したい
- 数ヶ月〜長期的に本気で伸ばしたい
という方におすすめ。
一方、
「とにかく安く英会話したい」
「レッスンを受けるだけで伸ばしたい」
という場合は、合わない可能性があることも明記することにしました。
サービスは、誰にでも売ればいいわけではありません。
合う人に来てもらうほうが、お客さんにとっても運営側にとっても幸せです。
「レッスンを受けるだけでも伸びますか?」も追加
もう一つ新しく追加するのが、
「レッスンを受けるだけでも英語力は伸びますか?」
というFAQです。
これは【復習】カテゴリーの最初に入れます。
理由はシンプルで、
RYO英会話ジムでは、
レッスン → 添削 → 音読 → 復習
までを一つのトレーニングとして考えているからです。
レッスンを受ければアウトプット量は増えます。
でも、レッスン中に修正された英語を復習せず、そのまま忘れてしまったらもったいない。
だから、
「レッスンだけではなく、復習まで含めて取り組むことが大切」
という考え方を、FAQの段階から伝えることにしました。
ちなみに、このFAQは【復習】カテゴリーの一番上に置きます。
そこから、
「なぜ音読が必要なのか?」
「どのくらい音読すればいいのか?」
「どのタイミングで復習するのか?」
と続けることで、流れもかなり自然になります。
音読10分も「最低ライン」に変更
以前は、
「まずは1日10分程度」
と案内していました。
もちろん、習慣化する入口として10分は悪くありません。
ただ、
本気で伸ばしたい人向け
というサービス方針を考えると、
「1日10分やれば十分」
と見えてしまうのは少し違います。
そこで、
1日10分は最低ライン
という位置づけに変更。
必要に応じて15〜30分程度まで増やすことをおすすめする形にしました。
ただし、大切なのは時間ではありません。
正しく修正された英文を、考えなくても口から出るまで繰り返す。
こちらのほうが重要です。
「高い理由」も、ちゃんと説明する
料金FAQも見直しました。
現在も、
「本気で学びたい方に絞るための適正価格」
という考え方は入っています。
ただ、もっと明確にしてもいいと思いました。
RYO英会話ジムは、
単に外国人講師と50分話す時間を売っているわけではありません。
- アウトプット
- 発言内容の可視化
- 添削
- フィードバック
- 音読
- 復習
- カリキュラム調整
- 必要に応じたコーチング
まで含めて、
「英語力を伸ばすためのトレーニング環境」を提供しています。
だから、
「安く英会話を楽しみたい」
というニーズとは少し違います。
価格を下げて誰にでも来てもらうより、
本当に伸ばしたい人に必要なサービスを提供する。
これもFAQでしっかり伝えることにしました。
「伴走」という言葉も、具体化する
最近よく使われる、
「伴走します」
という言葉。
僕自身も使います。
ただ、これだけだと少し抽象的です。
なのでFAQでは、
何をすることが伴走なのか?
まで具体的にするようにしました。
たとえばカリキュラムなら、
最初に作って終わりではありません。
スピーキングテストの結果、
講師からのフィードバック、
本人の課題、
実際の仕事で必要になった英語、
こうした情報をもとに途中でも調整します。
つまり、
課題を見つける → 改善する → 結果を見る → また調整する
この繰り返しです。
「優しくサポートする」という意味だけではなく、
成果に近づけるために、必要な改善を一緒に続けていく。
僕の中では、これが「伴走」です。
AIを使うと、FAQ全体を俯瞰しやすい
今回のFAQ整理では、AIもかなり活用しました。
FAQをまとめて読み込ませて、
- わかりにくい文章
- 重複している質問
- 古いルール
- 内容が矛盾している部分
- サービスの方針とズレている表現
をチェックします。
人間だけで数十個のFAQを一つずつ見ると、かなり大変です。
特に、
「このFAQではAと言っているのに、別のFAQではBと言っている」
というズレは、AIに全体を見てもらうと見つけやすいです。
ただし、サービスの方針や料金、返金、有効期限などの最終判断は自分で行います。
僕の中ではAIは、
文章を書く道具というより、サービスを一緒に点検する相手
という感じになってきました。
FAQは「完成させるページ」ではない
今回改めて思ったのですが、
FAQは一度完成させて終わりではありません。
サービスは変わります。
料金も変わる。
予約システムも変わる。
お客さんから来る質問も変わる。
そして、運営している自分自身の考え方も変わります。
だからFAQも、
サービスと一緒に育てていく。
これくらいの感覚がちょうどいいと思います。
問い合わせが増えたら、
「FAQを追加しよう」
ではなく、
「なぜ、この質問が発生したんだろう?」
と考える。
説明不足なのか。
導線が悪いのか。
ルールが複雑なのか。
サービスそのものを変えたほうがいいのか。
そこまで考えると、FAQは意外と優秀な改善ツールになります。
情報を増やすより「迷わないサービス」を作る
今回のFAQ改善で一番大きかった気づきは、
親切=情報量ではない
ということでした。
必要な情報が、
必要な場所にあって、
簡単な言葉で、
すぐ理解できる。
そして、その文章から、
「このサービスは誰のために存在しているのか」
まで伝わる。
そこまでできると、FAQは単なるサポートページではなくなります。
サービスの考え方そのものを伝える場所になります。
RYO英会話ジムの場合なら、
本気で英語力を伸ばしたい人に、しっかり伴走する。
でも、
本人が何もしなくても伸ばしてくれるサービスではない。
講師・コーチと本人が一緒に取り組みながら、
課題を見つけ、
修正し、
練習し、
また改善する。
今回FAQを見直したことで、むしろ自分たちが提供しているサービスの軸が、以前よりはっきりしました。
派手なマーケティング施策も大事ですが、
こういう小さな改善を積み重ねることも、オンラインサービスを長く続けるうえではかなり大切だと思っています。
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