最近、ふとこんなことを考えました。
「Google検索からアクセスを集めるのがこれだけ難しくなっているなら、新しくWebサイトやメディアを立ち上げる人も減っているのでは?」
僕自身、長年Webメディアを運営しているので、これはかなり気になるテーマです。
昔は、
サイトを作る → 記事を書く → Google検索からアクセスが増える → 商品やサービスが売れる
という流れが比較的わかりやすく成立していました。
ところが今は、AI Overviewが検索結果の上部に表示され、ChatGPTやGeminiに直接質問する人も増えています。
「検索1位を取ればアクセスが来る」という前提そのものが、少しずつ崩れ始めています。
では、Webサイトやオウンドメディアそのものも衰退しているのでしょうか。
調べてみると、実態はもう少し複雑でした。
- 1 Webサイトそのものは、実は減っていない
- 2 「SEOで稼ぐサイト」と「自社商品を売るサイト」は別物
- 3 ただし「検索1位=大量アクセス」の時代ではなくなった
- 4 では企業オウンドメディアはもう意味がないのか
- 5 英会話ジャンルでは、本気で記事を書く企業は減っているのか
- 6 新しい英語コーチング会社もSEOに参入している
- 7 ただし昔と比べて「狙うキーワード」が変わった
- 8 「中途半端にSEOをやる会社」が減っているのかもしれない
- 9 AI時代ほど「誰が書いたか」が重要になる
- 10 Webサイトは「集客装置」から「デジタル資産」へ
- 11 まとめ|SEOは終わっていない。ただし役割は変わった
- 12 参考にした公開データ
Webサイトそのものは、実は減っていない
まず意外だったのが、Webサイトやドメイン自体は減っているどころか、今も増えていることです。
Netcraftの2026年7月調査では、世界で確認されたWebサイトは約14.9億、ドメインは約3.05億でした。
またVerisignによると、2026年第3四半期末時点で世界のドメイン登録数は約4億1,160万件。前年同期比では8.7%増えています。
日本でも同じ傾向があります。
JPRSによると、JPドメイン登録数は2026年10月時点で約190万件まで増えています。
つまり、
「SEOが厳しくなったから、誰もWebサイトを作らなくなった」
というわけではありません。
ここで大事なのは、Webサイトを作る目的が変わってきていることだと思います。
「SEOで稼ぐサイト」と「自社商品を売るサイト」は別物
特に分けて考えたいのが、
アフィリエイトメディア
と、
企業が自社サービスの認知・集客のために運営するオウンドメディア
です。
この2つは、同じSEOメディアでもビジネスモデルがかなり違います。
アフィリエイトメディアの場合、
Google検索
↓
記事
↓
広告・アフィリエイトリンク
↓
数百円〜数千円の報酬
というモデルが基本です。
そのため、Googleからのアクセスが50%減れば、売上への影響もかなり大きくなります。
一方、自社サービスを持つ企業の場合は違います。
Google検索
↓
記事
↓
会社・サービスを知る
↓
実績や事例を見る
↓
問い合わせ・無料相談
↓
商品購入
という流れになります。
仮にアクセスが以前の半分になっても、そこから数十万円の商品が1件売れれば、十分に投資を回収できる可能性があります。
「1PVをいくらで売るか」ではなく、「コンテンツを通じて顧客を獲得できるか」で考えられるわけです。
ここが、現在でも企業がオウンドメディアを続ける大きな理由だと思います。
ただし「検索1位=大量アクセス」の時代ではなくなった
もちろん、SEOが以前より難しくなっているのも事実です。
特に大きいのがGoogleのAI Overviewです。
Pew Research Centerの調査では、AI Overviewが表示されなかった検索では15%のユーザーが検索結果をクリックしたのに対し、AI Overviewが表示された場合は8%まで低下しました。
さらにAhrefsが2026年に行った調査では、日本の情報収集型キーワードについて、AI Overviewが表示された場合の検索1位CTRが、AI Overviewがなかった場合の予測値より62.7%低かったとされています。
これはWebメディア運営者にとってかなり大きな変化です。
昔なら、
1位を取る → アクセスが増える
だったものが、
今は、
1位を取る → AI Overviewにも答えが出る → クリックされないことがある
になっています。
つまり、検索順位だけをKPIにしてWebメディアを運営するのは危険になってきているわけです。
では企業オウンドメディアはもう意味がないのか
僕はむしろ逆で、自社商品を持っている企業ほど、Webメディアの意味は残りやすいと思っています。
なぜなら記事は、Googleからアクセスを取るだけのものではないからです。
たとえば、
SNSで会社を知る
↓
会社名を検索する
↓
ブログを読む
↓
専門性を確認する
↓
受講者・利用者の体験談を見る
↓
問い合わせる
という人もいます。
ChatGPTやGeminiでサービスについて調べ、そこから会社を知るケースも今後増えるでしょう。
YouTubeを見て、その人のWebサイトを確認する人もいます。
つまりWebサイトは、
「集客の入口」だけではなく、「信用を確認する場所」
としての役割が強くなっています。
これはかなり大きな変化だと思います。
英会話ジャンルでは、本気で記事を書く企業は減っているのか
そこで今回、僕自身が運営している英語関連メディアとも関係が深いので、英会話業界を少し調べてみました。
結論としては、
「みんな撤退している」という状況ではありません。
むしろ、かなり積極的に記事を出している企業があります。
代表的なのがNativeCampです。
2026年9月11日を見ると、
「foodと料理の違い」
「peaceとpiece」
「freeの意味」
など、英単語・英語表現系の記事を同日に複数公開しています。
つまり今でも、英語表現SEOにかなりの物量を投入している企業が存在します。
Kimini英会話もかなり活発です。
2026年10月にも、
「ペソの意味」
「英会話が面倒くさいと思う瞬間」
「お手すきの際にを英語でどう言うか」
といった記事を継続的に公開しています。
さらに興味深いのが、単なる英語表現だけではなく、
「生徒2000人を教えて分かった、英語を話せるようになる人の共通点」
のような、講師の経験を前面に出した記事も増えていることです。
レアジョブも2026年現在、
ビジネス英語
英語表現
オンライン英会話
AI時代の英語学習
などの記事を継続的に公開しています。
つまり、大手企業が英語SEOから完全撤退しているわけではありません。
新しい英語コーチング会社もSEOに参入している
さらに面白かったのが、大手だけではないことです。
比較的新しい英語コーチングサービスも、かなり本気でコンテンツを投入しています。
たとえばThe Pastでは2026年9月に、
TOEFL
TOEIC Speaking
ビジネス英語
リーディング
多読
発音
などの記事をほぼ毎日のように公開しています。
SpeakNowも、
英語コーチング比較
英語コーチング料金
オンライン英語コーチング
法人向け英語研修
といった記事を大量に制作しています。
ここを見る限り、
「SEOはもう無理だから、新規参入者がいなくなった」
とは言えません。
むしろ、ある程度資本や戦略を持った会社は今でもSEOに投資しています。
ただし昔と比べて「狙うキーワード」が変わった
ここが今回調べていて一番興味深かったところです。
以前なら、
「happy 意味」
「take 意味」
「ありがとう 英語」
「よろしくお願いします 英語」
のような巨大な検索キーワードを片っ端から記事化して、大量のアクセスを集める戦略が成立しました。
もちろん現在もそのタイプの記事は作られています。
ただ、新しい英語コーチング企業を見ると、
「英語コーチング 比較」
「英語コーチング 料金」
「TOEIC コーチング」
「VERSANT 対策」
「法人 英語研修」
のように、商品・サービスにかなり近いテーマが目立ちます。
これは合理的です。
「英語 ○○ 意味」で1万人集めるより、
英語コーチングを探している100人を集めたほうが、ビジネスとして価値が高い
可能性があるからです。
つまり企業SEOは、
「とにかくPVを増やすゲーム」から、「売上につながる検索を取るゲーム」へ
変わってきているのだと思います。
「中途半端にSEOをやる会社」が減っているのかもしれない
ここまで調べて感じたのは、
SEOをやる企業そのものが消えているというより、二極化している
ということです。
昔は、
「とりあえず会社ブログを作ろう」
「SEO用に月10記事くらい外注しよう」
という企業も多かったと思います。
しかし、検索から簡単にアクセスを集められなくなったことで、この中途半端な層は続けにくくなります。
その一方で、
NativeCamp
Kimini
RareJob
The Past
SpeakNow
のように、SEOをやると決めた企業は大量にコンテンツを投入しています。
つまり、
競合がいなくなったのではなく、「本気でやる競合」と「やめる競合」に分かれてきた
と見るほうが近そうです。
AI時代ほど「誰が書いたか」が重要になる
そして、今後さらに重要になると思っているのが経験です。
AIを使えば、
「I thinkの言い換え10選」
くらいの記事なら数分で作れます。
だから、このタイプの記事だけで差別化するのはどんどん難しくなります。
一方、
「500人以上を指導して気づいた、I thinkばかり使ってしまう日本人の共通点」
となると話が変わります。
実際の指導経験が必要だからです。
旅行経験
海外勤務経験
受講生とのやり取り
失敗談
顧客データ
自社独自の学習メソッド
こうしたものは、AIがインターネット上の記事をまとめただけでは作れません。
Kiminiが「2000人を教えて分かった」といった経験ベースの記事を増やしているのも、この流れと無関係ではないと思います。
これから企業メディアで価値が上がっていくのは、
情報量ではなく「その会社だから書ける情報」
なのかもしれません。
Webサイトは「集客装置」から「デジタル資産」へ
僕自身も長年Webメディアを運営してきました。
昔はWebサイトというと、
Google検索からアクセスを集めるもの
という感覚がかなり強かったです。
でも今後は、もう少し広く考えたほうがよさそうです。
Google
ChatGPT
Gemini
YouTube
Instagram
X
他サイトからの紹介
など、さまざまな場所から人がやってきます。
そこで最終的に、
「この人は何者なのか」
「どんな経験があるのか」
「どんなサービスを提供しているのか」
「実際に利用した人はどうだったのか」
を確認する場所がWebサイトです。
そう考えると、
Webサイトは検索流入を取るためだけのものではなく、ネット上に蓄積していく自社の資産
という位置づけになっていくのではないでしょうか。
まとめ|SEOは終わっていない。ただし役割は変わった
今回調べてみて、最初に持っていた
「検索集客が難しくなったから、Webサイトを立ち上げる人も減っているのでは?」
という予想は、半分正しく、半分違っていました。
Webサイトやドメイン自体は今も増えています。
企業のオウンドメディアも消えていません。
英会話ジャンルでも、大手から新興企業まで現在進行形で記事を増やしている会社があります。
ただし、以前のように、
大量の記事 → 大量のGoogleアクセス → 売上
という単純なモデルではなくなりました。
これから重要になるのは、
自社商品につながるテーマを選ぶこと
そして、
自分たちにしか書けない経験をコンテンツにすること
だと思います。
SEOだけを見ると、確かに以前より厳しい。
でも見方を変えると、AIで誰でも記事を作れる時代だからこそ、10年かけて積み上げた経験やコンテンツ資産の価値はむしろ上がっていく可能性があります。
ゼロから大量の記事を作るのは大変です。
だからこそ、すでにメディアを持っている人にとっては、
古い記事を更新する、実体験を追加する、自社サービスとのつながりを強くする。
これだけでも大きな意味があります。
「SEOは終わった」と考えてWebサイトを捨てるのではなく、
「SEOだけに依存しないWebメディアへ進化させる」
僕は今、そのほうが現実的だと考えています。
参考にした公開データ
・Netcraft「July 2026 Web Server Survey」
2026年7月時点で約14.9億サイト、約3.05億ドメインを確認。
・Verisign「Domain Name Industry Brief Q3 2026」
2026年第3四半期末の世界のドメイン登録数は4億1,160万件、前年同期比8.7%増。
・JPRS「JPドメイン名の登録数」
2026年10月1日時点で1,901,067件。
・Pew Research Center
AI Overviewが表示された検索では検索結果へのクリック率が8%、表示されなかった場合は15%。
・Ahrefs
2026年6月、日本の情報収集型キーワードでAI Overview表示時の検索1位CTRが、予測値に対して62.7%低下。
・NativeCamp、Kimini英会話、RareJob English Lab、The Past、SpeakNowの各公開ブログを2026年10月時点で確認。
The Remote Digital Hubをもっと見る
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