オンラインサービスを長く運営していると、定期的にぶつかるのが「価格」と「サービス内容」のバランスです。
最近、僕が運営しているRYO英会話ジムでも、料金プランの見直しを行いました。
ただし、今回考えたのは値下げでも、大幅な値上げでもありません。
すでにある料金の中で、どこまでサービス価値を高められるか。
ここをかなり細かく考えました。
結果として、これまで一部のプランやオプションで提供していた「復習ノート」を、月額プランの標準サービスに組み込むことにしました。
今回は、この判断に至るまでに考えたことや、料金ページ・LPを実際に作り直して気づいたことを、オンライン事業運営のリアルとしてまとめてみます。
そもそも、なぜ復習ノートを標準化しようと思ったのか
RYO英会話ジムでは、レッスン中に受講生が実際に話した英語を見える化し、その場で添削しています。
ただ、英語学習はレッスンを受けただけではなかなか定着しません。
大切なのは、そのあとです。
「自分は何を間違えたのか」
「次はどう言えばいいのか」
「以前も同じところで間違えていないか」
こうした振り返りが積み重なって、少しずつ英語が自分の言葉になっていきます。
そのために使っているのが、受講生ごとの復習ノートです。
もともとはプランによって提供範囲を分けていましたが、改めて考えると、
これは上位プランだけの特典ではなく、RYO英会話ジムの学習体験そのものに近い。
そう感じるようになりました。
ただ話して終わるオンライン英会話との差を作るなら、この部分はむしろ標準サービスとして持っていた方がいい。
そう考え、月額プランに組み込む方向に決めました。
価格は上げるべきか、それとも据え置くべきか
ここは少し悩みました。
というのも、料金自体はすでに一度改定しています。
月次レポートなどのサポートを追加したタイミングで料金を上げていたため、さらに復習ノートを追加して値上げするとなると、利用者から見ても少し頻繁に感じます。
一方で、サービスを増やす以上、原価もゼロではありません。
講師には、
- 25分のレッスン:150ペソ
- 復習ノート記入:1レッスン50ペソ
- 月次レポート:1回150ペソ
という形で報酬を支払っています。
それでも現在の月額料金とのバランスを計算すると、十分に利益を残せる構造でした。
そこで今回は、価格を上げずに復習ノートを追加することにしました。
これは単なるサービス追加というより、
同じ価格で、サービスの完成度を一段上げる
という考え方です。
小さなオンライン事業では、毎回値上げするよりも、利益率に余裕があるときは一度価値を先に上げておくのも一つの戦略だと思っています。
全部を標準化すればいいわけではない
ここで面白かったのが、「じゃあMY音声ファイルも標準化した方がいいのでは?」という問題です。
RYO英会話ジムには、自分が実際に話した英語を自然な表現に直し、音声で聞ける「MY音声ファイル」というサービスもあります。
スマホで聞き流せるため、通勤や移動中の復習にも使えます。
これも学習効果は高いのですが、今回は標準化しませんでした。
理由はシンプルで、
標準サービスと上位サービスの境界を残したかったからです。
復習ノートは学習の基本インフラ。
一方、MY音声ファイルは、さらに復習効果を高めたい人向けの追加サポート。
この役割分担の方が、プラン全体としてわかりやすいと判断しました。
サービスを改善するとき、何でも無料で付ければいいわけではありません。
「どこまでを標準品質にするか」
「どこからを追加価値にするか」
この線引きは意外と重要です。
料金表を直して気づいた「伝え方」の問題
今回、サービス内容を変更するだけではなく、料金ページやLPもかなり修正しました。
そこで改めて感じたのが、
サービスが良くても、見せ方が悪いと価値は伝わらない
ということです。
たとえば、以前は復習ノートを独立した料金プランのように見せていました。
しかし月額プランへ標準化したあとも同じ見せ方をしていると、
「これは別料金なのかな?」
と誤解されます。
そこで表示自体を変更し、
「すべての月額プランに標準で含まれています」
という見せ方に変えました。
これは小さな変更ですが、かなり大きいです。
料金ページでは、サービス内容を増やすこと以上に、
何が料金に含まれているのかを一瞬で理解できること
が重要だと感じました。
プラン名やボタン文言まで見直した
今回、かなり細かいところまで修正しました。
たとえば、
「最適な英語コーチングプランを見つける」
というボタン。
一見悪くありません。
ただ、リンク先が「短期集中・プレミアム伴走・長期プランの違いを比較するページ」だったため、少し抽象的でした。
そこで、
「目的別プランの違いを見る」
のように、クリックした先で何がわかるのかを明確にしました。
MY音声ファイルも同じです。
単に「詳細を見る」ではなく、
「MY音声ファイルについて詳しく見る」
とした方が迷いません。
こういう細かいUI改善は、ひとつひとつは小さいですが、積み重なるとLP全体のわかりやすさがかなり変わります。
「AIを使っている」より「AIをどう使っているか」
今回もう一つ見直したのが、AI分析の見せ方です。
RYO英会話ジムの実践テストでは、AIを使ってスピーキングデータを分析しています。
ただし、AIの判定をそのまま最終評価にはしていません。
AIはあくまで分析ツールです。
分析結果にはズレが出る可能性もあるため、そのあと実際の音源を日本人カウンセラーが聞き、最終評価を行います。
つまり、
AIで分析し、人が最終判断する。
この流れです。
最近は「AI搭載」というだけで価値を見せるサービスも多いですが、個人的には逆だと思っています。
AIそのものは、これからどんどん当たり前になります。
重要なのは、
AIをどこで使い、どこを人間が判断するのか。
この役割分担です。
特に英語のように、自然さ・伝わり方・文脈など数字だけでは判断しにくいものでは、人の耳と経験はまだかなり重要です。
教材のカスタマイズも、実は全プラン対応にした
今回の整理で、もう一つ改めて明確にしたのが教材カスタマイズです。
RYO英会話ジムでは、既存教材だけを順番にこなす必要はありません。
たとえば、
- 海外会議で発言したい
- プレゼンを練習したい
- マネジメント英語を身につけたい
- 日常会話をもっと自然にしたい
- 特定業界の英語を練習したい
といった希望があれば、その人が今必要としている内容に合わせて教材やコースを作ることができます。
これは短期集中や上位プランだけではなく、全プラン対象です。
ここも料金表に明示することにしました。
サービスを運営している側にとっては「昔からやっている当たり前のこと」でも、お客さんは知らないことがあります。
今回の見直しでは、そんな隠れた価値をかなり発見できました。
チケットプランは、あえてシンプルに残す
逆に、すべてのプランを手厚くしたわけではありません。
チケットプランは、必要なときだけレッスンを受けたい人向けです。
教材カスタマイズやアウトプットダッシュボードなどは利用できますが、月額プランのような復習ノートや月次レポートは含めていません。
つまり、
チケットプランはアウトプット中心。
月額プランはアウトプット+継続改善。
この違いを残しています。
これも、サービス設計では重要だと思います。
全部のプランを同じにしてしまうと、選択肢は増えても、逆に違いがわからなくなります。
「何を付けるか」だけではなく、
何を付けないか
も設計の一部です。
サービス改善は、足し算だけではない
今回の料金ページ改修をやっていて感じたのは、サービス改善は単純な足し算ではないということです。
復習ノートを追加する。
AI分析を使う。
月次レポートを提供する。
教材をカスタマイズする。
これだけ見ると、機能追加の話に見えます。
でも実際は、
それぞれの役割を整理し直す作業
でした。
たとえば、
復習ノートは「オプション」から「標準」へ。
MY音声ファイルは「追加サポート」として残す。
AIは「最終評価者」ではなく「分析ツール」。
人間は「AIの代わり」ではなく、最終判断と伴走を担当する。
チケットプランは、あえてシンプルにする。
こうやってサービス全体の役割を整理すると、料金ページそのものも自然とわかりやすくなります。
オンライン事業では「値上げ」以外にも利益を伸ばす方法がある
オンライン事業をしていると、利益を増やそうとするとすぐに「値上げ」を考えがちです。
もちろん値上げが必要なタイミングもあります。
ただ今回改めて感じたのは、
継続率や顧客満足度を上げることも、利益改善につながる
ということです。
たとえば復習ノートを標準化した結果、
- 学習成果が上がる
- 継続率が上がる
- 口コミが増える
- 紹介が増える
- 解約が減る
ということが起これば、数千円の値上げ以上の効果が出る可能性があります。
特にサブスク型サービスでは、短期的な単価よりも、
「このサービスなら続けたい」と思ってもらえる理由
を増やすことが重要です。
ノマドだからこそ、仕組みを磨く
僕は海外を移動しながらオンライン事業を運営しています。
だからこそ、人を増やして力技で売上を伸ばすよりも、
サービスそのものを仕組み化して、少人数でも価値を提供できる状態
を作ることをかなり意識しています。
今回のように、
- 講師の業務を明確にする
- インセンティブを設定する
- AIに任せる部分を決める
- 人が判断する部分を残す
- ページ上の導線を整理する
こうした小さな改善の積み重ねが、場所に縛られないビジネスを支えてくれます。
ノマド生活というと、どうしても「どこで働くか」に目が向きます。
でも実際に長く続けるために大事なのは、
どこにいても回る事業をどう作るか。
こっちだと思っています。
まとめ:価格ではなく、サービスの完成度を上げる
今回の見直しでは、月額料金そのものは変更しませんでした。
その代わり、
復習ノートを標準化し、サービス全体の役割を整理しました。
結果として、
- 月額プラン=継続・復習・改善
- 短期集中=短期間で成果を出す
- プレミアム伴走=分析と人による伴走を強化
- MY音声ファイル=復習をさらに強化
- チケット=必要なときにアウトプット
という違いも、以前よりかなりわかりやすくなりました。
そして、AIについても、
AIに全部任せるのではなく、AIで分析し、人が最終判断する。
という立ち位置が明確になりました。
オンライン事業を長く続けていると、「新しい商品を作ること」ばかりに目が行きがちです。
でも、今あるサービスを見直して、
何を標準にするか。
何を特別な価値として残すか。
どう見せれば一瞬で伝わるか。
ここを磨くことも、立派な事業成長だと思います。
今回の改善は派手なものではありません。
でも、こういう細かなアップデートの積み重ねが、数年後のブランドや継続率に効いてくる。
オンライン事業を運営していると、そんな地味だけど重要な改善こそ、一番面白かったりします。
The Remote Digital Hubをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。






























コメントを残す