想定外のスタートから始まった家族ノマド旅

今回のソウル滞在は、母も一緒に参加する家族ノマド旅。
でも、初日からまさかのハプニングに見舞われました。
母のフライトが遅れ、到着予定は夕方5時のはずが、実際に到着したのは夜中の2時。
原因は、出発時のターミナルの勘違いと、チェックインの締切時間に間に合わなかったことでした。
母は69歳で、eSIMの設定なども難しく、空港を出たあとは一切連絡が取れない状態。
「まさか北朝鮮に…?」なんて冗談を言いつつも、正直なところ心配で仕方ありませんでした。
幸い、母を乗せたドライバーさんがとても親切で、翻訳アプリを使って何とか意思疎通できたそうです。
目的地まで約1時間半、料金はおよそ1万円。
深夜にも関わらず安全に送ってくれたことに、心から感謝しました。

滞在先はAirbnbのアパートタイプで、チェックイン不要のスマートロック式。
ただし、暗証番号を母に伝え忘れていたため、僕が寝ずに待つことに…。
無事に再会できた瞬間、ホッと胸をなでおろしました。
部屋は2ベッドルーム+キッチン付きで、母と子供と3人で過ごすには十分な広さ。
「これならしばらく暮らせるな」と思えるほど快適な空間でした。
ソウルで感じた“暮らし”と“文化の違い”

空港から市内へは、電車で約1時間半。
料金は安いけれど、各駅停車が多く、座る席もなくて立ちっぱなし。
想像以上に体力を使いました。
一方で驚いたのは、空港自体の設備の充実ぶり。
子ども向けのプレイスペースや展示エリアがあり、まるで美術館のよう。
待ち時間も退屈しない工夫がたくさんありました。
市内に着いてから困ったのが、Googleマップがほとんど使えないこと。
徒歩ルートが表示されなかったり、目的地がズレていたり…。
調べてみると、韓国では「Naver Map(ネイバーマップ)」という国内アプリが主流とのこと。
実際に使ってみると、ナビの精度も高く、レビューや写真も充実していてかなり便利。
「これはもう韓国の地図アプリ界の王様だな」と納得しました。
物価は日本と大きな差はなく、野菜やフルーツのサイズがとにかく大きい。
スーパーマーケットでは、まるで業務用スーパーのようなスケール感です。
でも一方で、交通費はやや安め。
初乗り約500円ほどのタクシーは、家族連れの移動にも便利でした。
そんな小さな違いの一つひとつが、海外で「暮らすように旅する」面白さでもあります。
日本では当たり前のことが、国によってまったく違う。
この“違い”を体感できることこそ、ノマドの醍醐味だと感じました。
ローカルに溶け込む、家族の時間

ソウル滞在の2日目は、近くにあるグランドチルドレンパーク(Grand Children’s Park)へ。
入場は無料で、動物園や遊園地が併設された、まさに“家族の楽園”のような場所です。
子ども向けのプレイスペースもあり、500円ほどで遊べる手頃さも魅力。
ただ、うちの子はいつもと違う雰囲気に少し緊張してしまい、韓国の子どもたちと距離を取っていました。
普段はすぐ友達を作るタイプなのに、海外ではやっぱり文化や言語の壁を感じたのかもしれません。
そんな姿を見て、「グローバルな経験って、挑戦と成長の繰り返しなんだな」と改めて思いました。
園内のカフェでは、日本語を流暢に話す店主と出会いました。
東京で6年働いていたという彼は、「日本は恋しいけど、韓国も好き」と笑顔で話してくれました。
韓国語と日本語は文法が似ているせいか、彼の日本語はとても自然で、まるで日本の喫茶店にいるような安心感。
言葉が通じるだけで、国を越えて人とつながれる喜びを感じました。
また、公園のフードコートでは家族連れが多く、ローカルな温かさに包まれた雰囲気。
どこか日本の昭和時代を思い出すような、人情味のある時間が流れていました。

夜は近くのローカルレストランで韓国バーベキュー(サムギョプサル)。
英語は通じないお店だったので、翻訳アプリでカタカナ入力しながら注文。
それでも店員さんは笑顔で対応してくれて、しっかり意図を汲み取ってくれました。
辛すぎない料理や海鮮系のメニューも多く、想像以上にバリエーション豊か。
韓国料理=辛いというイメージが、いい意味で覆されました。
こうして1日を通して感じたのは、「言葉は違っても、温かさは共通」ということ。
どの街角でも、人の優しさが伝わってくる。
それがソウルの一番の魅力だと感じました。
人気スポットを通して知る“韓国の今”

3日目は、ソウルでも屈指の人気テーマパーク「ロッテワールド」へ。
チケットは1人約3,000円で、屋内外どちらのアトラクションも楽しめます。
室内にスケートリンクもあり、家族で過ごすには最高の場所です。
ここで少し驚いたのは、ロッテという企業のルーツ。
日本発祥のお菓子ブランドが、韓国で巨大財閥として成長した背景を知ると、
「日韓の経済的なつながり」や「文化の交流」がいかに深いかを感じます。
道中のタクシーでは、運転手さんと少しディープな話に。
「日本人は優しいけど、日本政府はひどい」と、率直に語る姿が印象的でした。
一瞬、気まずい空気も流れましたが、同時に、
韓国の人々が“歴史”をいまも生活の延長で感じていることを痛感しました。
この出来事をきっかけに、
「なぜ南北が分断されたのか」「日本は本当に悪いことをしたのか」――
そんな問いが自然と自分の中に浮かびました。
答えを急ぐよりもまず、現地で生きる人の声を聞くことが大切なんだと思います。

その後訪れた「ロッテ水族館」は、モールの中とは思えないほど本格的で美しく、子どもも大喜び。
周辺のショッピングモールは高級志向で、観光客と地元の富裕層が多い印象でした。
でも、そこに流れる雰囲気や店員さんの対応からは、ソウルの“都会的なおもてなし文化”も感じられました。
旅の途中で感じた“日本への複雑な感情”

ロッテワールドへ向かうタクシーの中で、運転手さんがふと話し始めました。
「日本人は親切だけど、日本政府は昔ひどいことをしたんだよ」――。
その言葉を聞いた瞬間、少し空気が重くなりました。
けれど、怒りというよりは、“心に残っている痛み”のような感情が伝わってきたのを覚えています。
韓国に来て感じたのは、歴史がまだ「過去」になっていない国だということ。
戦争や植民地支配の時代を経験した人たちの記憶が、世代を越えて今も語り継がれています。
街中の資料館やニュース、日常の会話の中にまで、その影響が見え隠れします。
少し歴史を振り返ると、1910年の韓国併合から日本の統治が始まり、
その間に多くの言語や教育の制限、労働動員などが行われました。
一方で、日本式のインフラ整備や学校制度の導入など、近代化に貢献した面もあります。
つまり、「良い・悪い」で単純に分けられない複雑な歴史」がそこにあるのです。
そして1945年の終戦後、韓国は南北に分断。
北はソ連、南はアメリカの影響を受け、それぞれが異なる政治体制を歩み始めました。
「なぜ南北が分かれたのか?」という疑問の裏には、戦後の大国同士の思惑があったということを、
改めて現地で実感しました。
こうした背景を理解してみると、
韓国の人々が日本に対して抱く感情は「恨(ハン)」という言葉で表されるように、
単なる怒りではなく、悲しみと誇りが混ざった複雑な心情なのかもしれません。
今回の旅で僕が感じたのは、
「どちらが悪い」と判断することよりも、
“歴史を学び、相手の立場を理解しようとする姿勢”こそが、今を生きる私たちにできることだということ。
過去を責め合うよりも、未来を共に作る。
そういう価値観が、これからの時代には必要なのだと強く感じました。
家族ノマドで見えた“仕事と人生のバランス”

この旅では、「あえて働かない時間」を自分に許すようにしました。
普段は毎日仕事に追われ、PCを閉じる時間がほとんどない生活。
でも、韓国では夜に少しメールを返す程度で、昼間は家族との時間を最優先。
朝、子どもと散歩して、昼はカフェや公園で遊び、夜は一緒に映画を観る。
仕事から離れることで、むしろ心に余裕が生まれ、頭が整理されるのを感じました。
「働く=成果を出すこと」ではなく、
「働く=より良い自分でいられること」なのかもしれません。
ソウルでの数日間を通じて、
改めて思ったのは、“ノマド=自由”ではなく、“自分で選べる生き方”だということ。
どこで、誰と、どんな時間を過ごすか。
その選択の積み重ねが、人生を作っていくのだと気づきました。
忙しい日常から一歩離れて、
家族と一緒に過ごした時間は、何よりも価値のある投資でした。
仕事も大切、でも家族との時間も同じくらい大切。
そのバランスをどう取るかこそ、ノマドとしての成熟なのかもしれません。
まとめ|ソウルで見つけた“暮らすように旅する”生き方

今回のソウル滞在を通じて、改めて感じたのは――
「旅は観光ではなく、対話であり、発見であり、学び」だということ。
市場で出会ったおばちゃんの笑顔、
タクシーの運転手が語った日本への複雑な思い、
そして、ローカルの人たちが当たり前に過ごす日常。
どれもガイドブックでは得られない、生きた“韓国”でした。
「反日」という言葉の裏には、
長い歴史の中で失われた誇りや、取り戻したいアイデンティティがあります。
でも、その根底にあるのは“怒り”ではなく、「忘れたくない」という祈りにも似た感情。
その気持ちを理解しようとするだけで、見える景色は大きく変わります。
一方で、現代のソウルは新しさと伝統が共存し、
若者たちは前を向いて進んでいる。
そこにあるのは、「過去を知った上で、未来を作ろうとするエネルギー」。
それがこの国の強さなのだと思いました。
家族との時間もまた、僕にとって大きな気づきをくれました。
忙しさの中で忘れかけていた「いま、この瞬間を味わう感覚」。
ノマドという働き方の本質は、“自由に働くこと”ではなく、“自由に生きること”。
どこで仕事をするかよりも、
どんな時間を、誰と過ごすか。
それを自分で選べることが、最大の贅沢なのかもしれません。
この旅を通して、
僕が感じた“ソウルで暮らすように旅する生き方”は、
きっとこれからの時代を生きる多くの人にも共通するテーマです。
違いを恐れず、学びながら、つながりながら生きていく。
それが、家族ノマドという生き方の魅力であり、
僕がこれからも世界中で追いかけていきたいスタイルです。
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